大工塾ネットワーク「杢人の会」
コラム

毎回、担当の大工が日頃考えている疑問や悩みを本音で綴っていきます。

大工の本音

Sky Ocean:安藤譲
安藤譲

■手作りってなんだろう?

やすらぎ
おだやか
おもむき
やすらか
おちつく
ゆらぎ

これらの言葉に何を感じますか?

私たちがかかわっている家も含めて、身のまわりには工業製品があふれています。どこにでもあって、みんな同じ。すべてが大量生産に適した規格品なのでそうなってしまいます。
昔はみんな手作りでした。一つ一つが不揃いだけど味がある。この椅子やテーブルはこの家にしかない。この玄関の引き戸は近所の建具屋さんに作ってもらった。このようなものに囲まれて暮らしていました。

すべての人の性格や、顔かたちが違うように、そして、山にはえている木も(同じ松や杉の木であっても)すべての形が違うように、自然はふぞろいの集まりです。その、自然の一部でしかない人間が、規格化された工業製品の中で暮らしていくことに違和感を感じるのは当たり前のような気がします。

「何かを疑問に思ったり違和感を感じたら、自然のものをじっくり観察して、自然の都合を考えてみなさい。ほとんどのことは、それで答えが出るよ。」弟子時代に師匠から言われた言葉です。

技術的な疑問の答えのほとんどすべてが先人の知恵の中にあるように、感覚的な疑問の答えもほとんどが自然の中にあります。

私がずっと手作りにこだわってきた意味が最近になってやっとわかりました。私の感性にきざみこまれた自然の感覚がそうさせていたのでしょう。同じものが二つとないのが手作りの良さです。そして、土壁や、無垢の木の木目もいろいろな表情を見せてくれます。

ふぞろいの空間に囲まれて暮らすことで初めて、最初にあげたような気持ちになることができると思うのです。


2009.2.4 


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