日常生活の中で季節を感じることが、エアコンの普及やハウス栽培の野菜などが食卓にのぼることによって、少なくなってきているような気がします。
毎日、朝晩の犬の散歩を始めて5年がたち、以前なら感じることも気になることもなかった季節の移り変わりや、樹木や植物の生長が、大工である自分が現場で感じるものと、違った感覚で感じることがあります。
たとえば、樹木が四季折々に見せる変化です。
ついこの間までは、幹や枝だけだった樹木が芽吹き、ある時期を境に花を咲かせ、清々しい新緑へと変化していく。
当たり前の変化や生長に、改めて関心が向くようになった自分がいます。
建築の仕事に携わって25年が経ちます。いろいろな住宅や建物を造ってきました。
いつも、自分の住みたい家を、自分の家を造る気持ちで取り組んできました。
最近のテーマは、「居心地のいい家」です。そこに暮らす家族がのんびりできる“わが家”を造りたいと考えています。 その家は、「ただいま」と入った瞬間にほっとし、気持ちがよくなる。ゆっくりと心がほぐれ、寝ころびたくなったり、のんびり本を読みたくなったり、好きな音楽を聴いたりしたくなる。
日当たりのよさに手足を伸ばし、自然な風や空気の流れを感じる。
花や絵をちょっと飾ったり、正月は門松、三月はひな人形、五月は鯉のぼり、夏は風鈴、秋の十五夜はすすき、クリスマスはリースを飾って、季節を楽しむ。
おじいちゃんが作った野菜は甘いとか、旬の魚は脂がのっているとか、おしゃべりしながら食事をし、とりとめなく話をしたり。
そんな暮らしが楽しめる「居心地のいい家」を思い描いて造っています。
最近では家を引き渡すとき、住まい手の方と、季節を感じる暮らしができるようにと植木や植栽の話をすすめることが楽しみになっています。
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