住宅を建てるときにつかう建材の種類が大変増えていると感じます。今まで現場で職人が加工し作っていたものが建材(商品)として販売されたり、法律が改正された(10年保証など)ために商品開発されたりしています。このような建材を組み合わせて住宅をつくるようになってきた背景には、いくつかの理由があります。
1.法律の改正(※住宅瑕疵担保履行法)
2000年の品確法で、新築住宅の構造耐久上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分の瑕疵(欠陥)を10年間保証しなければならなくなりました。台風の時などは 防水テープやコーキングなしで雨漏りを完全に防ぐのは非常に難しいのです。多少雨が入ってしまいます。
2.住宅の価値基準
車や家電などと同じ感覚で住宅を選ぶようになってきているのではないかと感じます。数値化しやすい断熱気密等の数字を上げるために、建材を使うといったような家のランク付けに利用されている、短いスパンでの性能評価には大変有能な商品が多くあるからです。
3.施工者の利益の確保がしやすい
施工者側にとって、定価や仕入れ値がはっきりしているので 利益の確保がしやすい。また、性能や価格の点でもカタログやパンフレットにのっている商品の説明は、お施主さんにも受け入れやすくやりやすいものです。
しかし、このような家作りには問題点が多く大工工務店としては流されないような家づくりをしたいと考えています。
建材を多用した家づくりが多くなった結果次のような事柄が生じてきました。
1.土に還らない家づくり
建材はメンテナンスフリーや長期耐用年数を目指しているため、解体材は埋め立て処分せざるを得ない=土に還らない建材が圧倒的に多い。
無垢材は長い年月をかけ自然が土に還してくれますが人工的に作られた建材はゴミになるだけです。
2.建材メーカーの偽装問題
昨年は大手建材メーカーが耐火性能を偽り国土交通大臣認定を不正取得していたことが明るみにでました。
3.大工技術の低下
住宅をつくる場合、総額予算が決まっているのがほとんどで、建材に予算を多くとられてしまう。必要な工事にお金をかけられず、職人の技術はもちろん、教育や意識の向上につながらない。
単なる製品を取り付ける作業員になってしまう。ものづくりをしている意識が希薄になってきている。
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