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大工塾ネットワーク協同組合 杢人の会

01:建築の行方
2017.08.29

新築住宅の購入者の利益を保護するために住宅瑕疵担保履行法が成立し、2009年10月1日以降に引き渡される新築住宅について保証金の供託または瑕疵担保責任保険への加入による資力確保が義務付けられました。
保証金は、例えば10年で15戸しか建てられない工務店であれば一戸あたり100万円という金額になりとうてい払えきれるものではなく保険加入によって対応するしかありません。
当然、保険料は掛け捨てなので建築費に上乗せせざるをえないものとなります。
しかし、保証金は引き渡し戸数が多くなればなる程割安となり、年間引渡し戸数が3万戸を超えるハウスメーカー(ちなみに積水ハウスは約6万戸)では一棟あたり1万5千円程です。
まさに大企業優先であり、小さいところは消えてなくなれといわんばかりです。

日本の建築技術を支えてきたのはハウスメーカーではなく個々の大工や町場の工務店なのではないでしょうか。
それを抹殺しようとするかのような法律を消費者保護の美名のもとに、たくみに天下り先を新たに確保しつつ作り上げ、にもかかわらず「200年住宅」などと荒唐無稽なことも国交省は言いはじめています。

一方で耐震強度偽装事件を受けての建築基準法の改正(悪?)から1年が過ぎ、一時は現場は混乱しましたが、日銀短観にまで悪影響を指摘されたことにより、事の重大さに気づいた国交省は一転、確認申請に必要な書類を大幅に減らした他、構造的に影響のない小規模の設計変更であれば申請からやりなおさなくてもいいことになりました。

この国の建築をめぐる行政はどこを見て行なわれ、どの方向に日本の住宅を導こうとしているのでしょうか。
少なくとも町場の工務店や大工にとって楽な方向でないことだけは確かなようです。

投稿者:宮内一利

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