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大工塾ネットワーク協同組合 杢人の会

17:愛すべき不良老人たち
2017.08.31

ちょっとだけ憧れている人たちがいる。
もうみんな60~70歳くらいのいいおじさんだ。なかでも親分はとにかくすごい。あばらの骨を折り、身体に包帯を巻きながらスコップでガンガン穴を掘るし、足場の上から「ひょい」、と飛び降りる。70歳過ぎでだ。
故郷の九州に帰るのに、車で1300キロの道のりを11時間で着いたそうだ。しかもそのうちフェリーに1時間半乗っていてだ。聞けば「昔レースをやっていた」と言い、現場から4tトラックでものすごい勢いで出ていく。
その人の弟分みたいな人がいる。この人(Sちゃん)がまたおもしろい。
この歳で髪の毛が茶髪だ。
リフォームの現場で、使わなくなった電気の線を必死に集めている。「どうするのか?」と聞いてみると、線を剥いて売るそうだ。必死に集め、やっと軽トラ1台分になり、いざ、売ろうとしたら盗まれてなくなっていた。
もう一人手伝いで来るおじさんがいる。この人が入るとまたにぎやかになる。
伐採の仕事の際、上でSちゃんが枝打ちをしているのに、その木を平気で倒そうとする。Sちゃんはすごい形相で慌てて降りてくるのに知らないふりをする。
「チェーンソーを借して」と言えば、回っている刃の方から「ハイ」と言って渡す。とにかくかなり無茶苦茶である。
他にもここには書けないようなエピソードはいっぱいある。やんちゃ坊主がそのままおじさんになったような人たちだ。それでも近所の人たちに頼りにされている。
この年代の人たちにはとても敵わないと思う。何が敵わないのか説明はできないが、平和で何でも手に入る時代で育ってきた自分とは根本的に何かが違う気がする。
この年代の人たちは自分たちの信念を失わずに大切に持ちつづけているのかもしれない。決して裕福ではなく、どちらかと言えば、かなり厳しい生活をしていると思う。でも、仕事も遊びも一生懸命で、自由に楽しく仲間と言いたいことを言い合いながら過ごしている。何かイイ。
そんな生き方はなかなか真似できないがちょっとだけ憧れている。

古谷和成

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